SDGsが叫ばれている今日、環境面や経済面、または健康目的で自転車移動を選択している人が増えてきています。
そんな私も、大阪市内にて愛車のミニベロで颯爽と自転車通勤をしております。
↓ミニベロ通勤のメリットはこちら↓
ところで、自転車のとき通勤手当ってどうなるの?…と、考えたことありませんか?
実は、自転車通勤に限らず交通費に関しては、企業側が自由に決められる権利があるんです。
ここで、通勤手当に着目して、環境面や従業員の健康面を考慮して、自転車通勤を推進している先進的な企業とともに解説していきます。
自転車通勤への通勤手当は会社側が自由に決められる
自転車通勤に限らず、法律上で会社側が交通費・通勤手当を支給しないといけない、という決まりは存在しておりません。そのため、支給する/しないも、支給する額や内容も、会社の裁量に任されているのが現状です。
一応、交通費が非課税で支給できる限度額は、マイカー通勤と同じで距離ごとに以下の表のとおり決められています。(2023年8月現在)
(参照:No.2585 マイカー・自転車通勤者の通勤手当|国税庁https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2585.htm)
もし交通費を出す会社があるとすると、上記の金額以下の交通費が支給されることがほとんどです。
しかし、自転車通勤を認めず、自転車で通勤したら通勤手当はゼロ!と決めている企業も少なくありません。なぜなら、自転車通勤は公共交通機関より、被害者としても加害者としても事故に巻き込まれる可能性が高いため、嫌がる会社が多いのが事実なんです。
2020年のau 損害保険株式会社の調査では、東京都内の会社員のおよそ36%が、自転車通勤を認められていないと報告されています。
(参照:https://cdn.kyodonewsprwire.jp/prwfile/release/M105411/202006010436/_prw_OR1fl_LY77fqM3.pdf)
つまり、この36%の人は、自転車通勤がしたくても、通勤手当がでないどころか、黙って行えば会社から罰則をくらう可能性があるんです。
それでも、交通費・通勤手当の有無、内容については、会社を縛る法律はありません。そのため、自転車通勤を認めていなくても、それは全く合法のことなので、何もできません。
しかし、会社側が合法であるといえども、通勤する側は手当ゼロだといろいろ困りますよね。ガソリン代や電車通勤より安いのは間違いないけど、日々のメンテナンスの料金や、都心部だと駐輪場代など、通勤者の負担額はゼロではありませんから。
このような状況で、自転車通勤に対して寛容な、むしろ優遇している企業があるらしいのです。
そんななか、自転車通勤を推奨している企業がある?
自転車通勤は会社側にとっては、たしかに面倒ごとが多いかもしれませんね。
交通費の支給額を決めたり、労災が降りる範囲内を決めたり、また、従業員に事故を起こされたらたまったものじゃありません。保険義務化も必須でしょう。
そんななか、それでも自転車通勤を認めているどころか、自転車通勤”推奨”に力を入れている企業もたくさんあるんです。そういう企業って、どういうイメージですか?
私はやはり、環境面と経済面、そしてなにより従業員の交通手段の自由度や健康面に配慮する姿勢に、先進的でクリーンなイメージを抱きます。やっぱり、シンプルに好感を持てますよね。
実は、さきほど自転車通勤を認められていない会社員が36%というデータを出しましたが、実はこれでもかなり自転車通勤を許可している会社は増えてきているんです。
(参照:株式会社Works Human Intelligence調査・改 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000019.000049399.html)
こちらは、株式会社Works Human Intelligence さんが行った国内法人100社以上の調査結果です。
コロナ禍を経て、自転車通勤を許可する動きが高まったことがわかります。
通勤者側の自転車通勤のニーズは高まっている
それには、やはり通勤者側の自転車通勤へのニーズが高まったことが理由としてあげられます。
2020年度の自転車販売市場(事業者売上高ベース)はなんと2100億円を超え、過去最高を更新したことが帝国データバンクから発表されました。特に大手の自転車販売店、あさひ(大阪市)などが過去最高の売上高・利益を記録し、市場の拡大が続いています。
(参照:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000339.000043465.html)
外出を控える傾向が強まる中、自転車通勤は交通渋滞を回避しながら感染リスクを低減できる魅力的な選択肢としてニーズが高まったのです。この動きに合わせ、企業側も自転車通勤を認める、または支援する動きに流れが変わりました。
2020年に国が発表した『自転車通勤推進企業』宣言プロジェクトも追い風に
コロナ禍のニーズ変化に企業が柔軟に対応し始めたのは、もちろん国の動きも大いにあります。企業側が従業員に対して投資する”人的資本経営”が注目され、健康経営が当たり前となった今、エコで経済的で、従業員の健康面でもメリットしかない自転車通勤がフィーチャーされないわけありません。
さっそく、2020年、国土交通省から『自転車通勤推進企業』宣言プロジェクトが発表されました。
このプロジェクトは、企業が自転車通勤を推進し、そのための環境整備や制度の整備を進めることを促すものです。まだまだ始まったばかりの政策ですが、すでに現段階で、企業側の積極的な取り組みを後押しした結果が出ております。
(参照:報道発表資料:自転車通勤を推進する企業・団体の認証制度を創設します!~「『自転車通勤推進企業』宣言プロジェクト」が始まります~ – 国土交通省https://www.mlit.go.jp/report/press/road01_hh_001308.html)
実際に『自転車通勤推進企業』に認定されている企業とは
令和2年から始まったこちらの認定制度ですが、毎年認定企業の発表が行われております。
なんと、令和4年度に優良企業認定されたのはたったの4企業。宣言企業ではなく優良企業認定は、結構狭き門なのかもしれませんね。
では、その企業と自転車通勤のとりくみについてご紹介したいと思います。
コカ・コーラ ボトラーズジャパン株式会社
コロナを契機に、2020年から自転車通勤制度を新しく導入したようです。
自転車通勤の課題のひとつである、天候変化における通勤手段の変更に対応した内容となっているところが、まさにこれからスタンダードになってほしい自転車通勤のサポートですね。
また、コカ・コーラ社独自のビジネスドレスコード“Sawayaka Style”も、自転車通勤のしやすさにもつながるカジュアルさですね。大手企業ならではの複数のメディアを活用しながら、自転車通勤の取組を積極的に発信しておられます。
【コカ・コーラ社 自転車通期制度概要】
■対象:コカ・コーラ ボトラーズジャパン全従業員(派遣社員は除く)
■通勤経路・距離:自転車利用距離が1.5km以上 ※「自宅~勤務地」「自宅~最寄駅」「最寄駅~勤務地」の区間
■日によって異なる交通手段の利用:天候や交通事情等により、会社に申請している通勤手段と異なる手段での通勤を認める
■手当:正社員・嘱託社員・シニア社員・パートナー社員: 月額支給 パート・アルバイト: 距離に応じた1日単位の手当を稼働日数分支給
■駐輪場代:駐輪スペースが敷地内にない拠点勤務者には駐輪場代相当を月額支給
■ヘルメット着用:ロードバイク等による高速走行や長距離走行する場合については、ヘルメット着用を義務付ける。近距離かつ低速走行の場合についても、ヘルメット着用に努める
■自転車保険(個人賠償責任保険)への加入:自転車通勤をする者は、個人賠償責任の補償が無制限となっている自転車保険などへの加入を義務付ける
https://www.ccbji.co.jp/news/detail.php?id=872
株式会社シマノ
(参照:「自転車通勤推進企業」宣言プロジェクト「優良企業」に認定|シマノコーポレートサイトhttps://www.shimano.com/jp/csr/news/news_detail_11.html)
出ました!我らが日本人の誇り、自転車部品のシマノ、世界のシマノさん。
もちろん、『自転車通勤推進企業』の優良企業認定くらいとっていても不思議ではないですね。さすがです。
行っている取り組みも一味違います!
自転車通勤専用の情報WEBサイト(https://bike.shimano.com/ja-jp/mindswitch/)を立ち上げ、広く情報発信をしております。これがまた必見!自転車通勤をしたい通勤者側の情報から、自転車通勤を導入したい企業側が気を付けるべき点まで、情報の幅と内容が深い深い。さすがの一言です。
また、ヘルメット購入の補助金やパンク修理など実践的講座を実施しているのも、自転車部品会社ならではですね。
そして最もうらやましいのが、大浴場やロッカールームの設置を行ってくれていること!さすがロードバイクの部品会社、いったい何kmの自転車通勤を想定しているのでしょうか。汗だくで通勤してもこれなら何にも困ることないですね。サイクルウェアで出社して、お風呂に入ってからスーツに着替えたっていいんです。こんな恵まれたことがあるでしょうか。
余談ですが、さすがシマノさん。駐輪場に停められているバイクたちも壮観ですね。
↓ちなみに20kmを自転車通勤していたときの感想↓
ブリヂストンサイクル株式会社
こちらも言わずと知れた日本の大手自転車メーカー、ブリヂストンさん。当然のごとく優良企業認定、さすがです。
ブリヂストンさんが特に注目された点は、自社の従業員に対する取り組みではなく、外部の企業への活動内容です。自転車メーカーである企業であることを全面に活かし、自転車通勤について交通安全教育に関する相談があった企業や自治体に対し、それぞれにカスタマイズした講習を行っています。
このような外部への取り組みも、もちろん『自転車通勤推進企業』宣言プロジェクトの目的である”自転車通勤を推進”に大いに当てはまりますね。
交通安全教育の動画を作成し提供したり、講師として自社の従業員を派遣したり、乗り方の実技講習まで、技術と専門知識のプロフェッショナルが集まっているブリヂストンサイクル株式会社ならではの活躍を見せてくれています。
株式会社マスター
こちらは打って変わって石鹼の製造を行う株式会社マスターさん。健康経営優良法人の認定を取得していたり、従業員への人的資本経営に力を入れている様子が公式HPより見て取れます。
自転車体験シミュレーターという技術を活用した安全教育や、従業員が自主作成した通勤経路の「ヒヤリハットマップ」で自転車通勤の教育を強化しております。
また、自転車通勤の心配のひとつである、自転車の盗難対策も、防犯カメラやミラーの設置などで対応。保険も団体保険に加入し、福利厚生も充実させております。
これなら安心して自転車通勤が始められそうですね。
以上です。
ちなみに、優良企業は今まで認定されたのは全部で 6 件!かなり狭き門のようです。
のこりの2企業も、のちのちご紹介予定です。
まとめ
自転車通勤は経済的で環境にいい、さらに健康に良しと、通勤者側のメリットはたくさんあります。
そして、国が推奨することにより、企業側もブランディングができてメリットが多くあるんですね。
健康経営の次は、環境への取り組みも兼ねて『自転車通勤推進企業』認定を狙う企業も増えてくるでしょう。
ここで一足先に自転車通勤を始めてみませんか?
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